1. 藤岡市の成人式ひき逃げ事故について、解説します。






1-1. この記事の目的

この記事では「藤岡市の成人式ひき逃げ事故 」について詳しく解説をします。
この記事の目的は3つあります。
- 藤岡市の成人式ひき逃げ事故についての概要がわかる
- 未成年の交通事故についての処分について理解できる。
- そもそも未成年の事故は多く、成人式は危ないことを理解できる。
それでは早速みていきましょう。
出島Z
2. 藤岡市の成人式ひき逃げ事故の概要

1月13日の成人式に藤岡市にて起きた事故の概要です。
群馬県藤岡市藤岡の県道で13日朝、近くの女性(87)が車にはねられ死亡するひき逃げ事件があった。群馬県警は14日、神奈川県秦野市に住む私立大学2年の少年(19)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。
藤岡署によると、少年は13日午前7時40分ごろ、女性をはねて死なせ、逃走した疑いがある。
少年は「12日の成人式に出席した後、藤岡市内の実家に帰宅する途中だった」と話しており、14日午前0時半ごろ、秦野市内の交番に出頭したという。
引用元:朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASN1G6WK9N1GUHNB00W.html
事故の概要としては、「 13日午前7時40分ごろ、私立大学2年の少年(19)が成人式の帰りに女性(87)をはね死亡させ、逃走し、14日午前0時半ごろに出頭した 」ものです。
3. 民事上の対応
今回のニュースには事故の状況が詳しく記載がされておらず、事故状況は不明です。
確かに加害者の少年は女性を轢いたのちに逃走していますので、明らかに加害者である少年に非が大きいのでは?との見方ができますが、事故状況によっては、「被害者である女性が横断歩道のない道路に進入し横断してきた」「被害者である女性が信号機を無視し交差点に進入してきた」可能性もあるため、ここについては今回は触れません。
第三者の目撃証言や、ドライブレコーダー、防犯カメラ上での証拠があればそれらを基に詳しく過失割合を算定していくことになりそうです。
また民事上の対応で行けば、加害者は未成年と言う事なので、親権者が損害賠償請求を行っていくことになります。
また加害者の乗っていた車両で、対人保険・対物保険の加入があれば、それらを使用し被害者の遺族に対して死亡慰謝料や逸失利益(あれば)を賠償していくことになります。
4. 行政上の処分

今回はひき逃げをしてしまっていることから、大きく免許証の点数が引かれることが想定できます。
交通事故を起こしてしまった場合、負傷者の救護等を怠ってしまうと「救護義務違反」として刑事罰や行政処分の対象となります。
負傷者の救護は最優先に行う必要があると認識されているからです。
- 救護義務違反:35点–
あとは、事故の原因がニュースからは不明の為、基礎点数が何点減点されるかは不明です。
が、女性を轢いて死亡させていますので、付加点数は下記の通り引かれることになります。
被害者の負傷程度 | 専ら加害者の不注意により事故が発生した場合 | 相手にも非がある場合 |
---|---|---|
死亡 | 20点 | 13点 |
・治療期間が3か月以上 または ・後遺障害が伴う傷害事故 | 13点 | 9点 |
治療期間が30日以上3か月未満 | 9点 | 6点 |
治療期間が15日以上30日未満 | 6点 | 4点 |
・治療期間が15日未満 または ・建造物の損壊あり | 3点 | 2点 |
- 付加点数:20点- or 13点-
一発で免許取り消しですね。
5. 刑事上の処分

今回の件では、 自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕されています。
まず 道路交通法違反(ひき逃げ)についてですが、事故を起こした場合、本来は適切な措置を講じて警察に報告しなければならない義務があります。
報告義務違反は道路交通法72条にしっかり明記されており、これを怠った場合は今回のケースですと3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金に処される可能性があります。
処罰に関しては道路交通法119条第1項10号にしっかり根拠が明記されています。
さらには負傷者がいた場合は、負傷者を救護する義務があります。
救護義務違反も道路交通法72条にしっかり明記されており、これを怠った場合は今回のケースですと10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
処罰に関しては道路交通法 第117条 第1項,第2項にしっかり根拠が明記されています。
ちなみに事故によって道路上に危険が生じた場合、運転手はそれを防止する措置を講じなければなりません。
この措置を講じなかった場合、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます。
これは道路交通法117条の5に明記されています。
また、「自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)」についてですが、
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
引用元:自動車運転処罰法 第5条
と明記されていますように、 7年以下の懲役若しくは禁錮又は100円以下の罰金 に処されることとなります。
今後の流れですが、
加害者は19歳のため、少年法が優先され、まずは家庭裁判所で処分が決定されます。
仮に女性側に落ち度がなく(例えば横断歩道を渡っている際に轢かれた、歩道の信号が青信号機で横断したなど)話が進んでいった場合、運転者側が悪質な違反や事故とみなされ、成人と同様の刑事手続き(裁判)となり事件を検察官に送り返しされる可能性が高いです。 (逆送と言います)
その場合、検察官による起訴・不起訴の判断がありますが、今回のケースは自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(ひき逃げ) ですので、刑事裁判での審理になることが予想されます。
そして、ここまでの流れになるまでのポイントは、 第三者の目撃証言や、ドライブレコーダー、防犯カメラ上での証拠があるかないかです。
運転者に運転上の大きな過失を問えるか否かも重要です。
6. 20歳未満の事故はそもそも多いんです。

今回の事故に限らず、20歳未満の若い世代の事故って、実は圧倒的に多いんですね。
この表を見てもらいたいのですが、

引用元:e-STAT
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130002&tstat=000001027458&cycle=7&year=20180&month=0
上記は平成30年度までの免許保持者の事故発生件数の推移を示したものです。
事故発生件数で言えば、圧倒的に20歳未満の事故が多いことが見て取れますよね。
また、この内死亡事故に起因する事故の表なのですが、

引用元:e-STAT
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130002&tstat=000001027458&cycle=7&year=20180&month=0
20歳未満と80歳以上の死亡事故が拮抗していることがみてわかりますね。
このように、20歳未満の人達は免許を取り立てて運転技術もまだまだ未熟なことから、事故を起こしやすい傾向にあります。
特に「成人式」は世間の成人たちが成人式場に足を運ぶ際に、車で街中を走り回っている可能性が高く、1年で最も事故が起こりやすい日とも考えられる訳なんですね。
僕が皆さんにお伝えできる事としては、極力成人式は外に出歩かない方が良いんです。本当に一番事故率がグッと上がる日なので。
またこの運転者に関しては「成人式の帰りに事故をしてしまい、逃走してしまう」という成人式の本質を全く理解していない行為をしてしまっており、本当に反省してもらいたい限りなのですが、 しっかりと社会の罪を償ってもらいたいと思います。
お亡くなりになった女性に関してはお悔やみ申し上げます。