1. 煽り(あおり)運転の法改正案と保険対応について、徹底解説します











1-1. この記事の目的

この記事では「 あおり運転の法改正と保険対応 」について詳しく解説をします。
この記事の目的は3つあります。
- あおり運転の法改正のポイントがわかる。
- あおり運転の保険上の対応がわかる。
- あおり運転で気を付けるべきポイントがわかる。
それでは早速みていきましょう。
出島Z
サイトの管理人は、長年に渡って損害保険会社に勤め、自動車保険の査定・示談交渉を行っておりました。何千件もの交通事故を事故解決へと導いてきました。の経験・実務に則して記事を記載しております。
1-2. あおり運転の法改正案の概要

あおり運転の法改正案 概要を詳しく記載した1つのニュースを紹介します。
毎日新聞からの抜粋です。
警察庁は、道路交通法に「あおり運転」を新たに規定し、事故を起こさなくても即座に免許取り消し処分とする方針を固めた。6日の自民党の交通安全対策特別委員会で検討案を説明した。来年の通常国会での法改正を目指す。厳罰化も図り、悪質ドライバーの排除を目指すとしている。
検討案によると、あおり運転を「他の車の通行を妨害する目的で、一定の違反(過度に車間距離を詰めたり、急に進路を変更したりすることなどを想定)により交通の危険を生じさせる恐れのある場合」と規定し、違反した場合は罰則を設ける。「高速道路上(一般道を含む)で他の車を停止させるなど、著しく交通の危険を生じさせた場合」は、さらに重い罰則を科す。
罰則は検討中だが、現在の取り締まりで適用されている刑法の暴行罪の「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」などとのバランスを考慮して定める方針。行政処分は、違反点数を即座に免許取り消しになる「15点以上」とし、免許を再取得できない欠格期間を1年以上は設けたい考えだ。
警察はこれまで、道交法の車間距離保持義務違反や相手への暴力行為があるとして暴行罪などを活用してあおり運転を摘発してきた。社会的関心の高まりを受けて取り締まりが強化された2018年の車間距離保持義務違反は1万3025件と前年の約1・8倍に達し、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷の妨害目的運転)25件、暴行24件、傷害4件などに上った。今年1~10月の車間距離保持義務違反は1万2377件に達する。
しかし、主に適用されている車間距離保持義務違反の罰則は、高速道路の場合で「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」で、違反点数も2点にとどまる。政府与党からは「悪質なあおり運転を想定していない現行法による取り締まりには限界がある」として法整備や厳罰化を求める声があり、警察庁が海外の法制度も参考にしながら検討を続けていた。
引用元:毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20191206/k00/00m/040/030000c
これを基にあおり運転法改正と保険上の対応を考察していきます。
1-3. あおり運転の法改正で変わること

あおり運転の法改正で何が変わるかを考察していきます。
変わることとしては、2つあります。
- 「あおり運転罪」というジャンルが新たに作られる
- 刑事処分と行政処分がより重くなる
です。
この2つの項目はリンクしていますので、一緒に説明していきます。
今までの道交法にはあおり運転を直接取り締まる規定がなく、刑法(暴行罪など)、 道路交通法 の「車間距離保持義務違反」(3カ月以下の懲役など)を準用する形で取り締まっていたのですね。
ただ、これまでの刑法や道路交通法の「車間距離保持義務違反」を準用するだけだと、加害者側への 刑事責任・行政責任は「軽く」で済んでいました。
刑事上の処分だと、現行では「車間距離保持義務違反」であれば罰則は高速道路が3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、一般道が5万円以下の罰金です。
また行政上の処分だと、現行では高速道路等での「車間距離保持義務違反」は基礎点数2点減点、普通車の場合は反則金9000円。それ以外の道路では基礎点数1点、反則金は同6000円なんですね。
言ってしまえば「たったこれだけの刑事上の処分と行政上の処分」で加害者は済んでいたのですね。
ここに新たに、「煽り運転罪」なる物を加えて、規制する予定になります。
今後の刑事処分は、暴行罪や強要罪(3年以下の懲役)を参考に、これらと同等かそれ以上の罰則を設ける方向で調整する予定です。
また行政上の処分は、1回の摘発で免許取り消しの対象となるように、15点減点以上にする予定です。
ちなみに15点減点ですと、前科がなくても1発で免許取り消し(1年間)になります。
2. あおり運転での保険上の対応

自動車保険 (民事上) のあおり運転の対応は、今までと変わらず「車同士が衝突している」、もしくは「怪我が発症している」ような事故のみを対応していきます。
あおり運転で、接触のない、もしくは怪我の発症がないものはそもそも自動車保険の対象外になります。
補足ですが、自動車保険 (民事上) で対応する際の前提条件として、不法行為(相手のモノに損害を与えた)があったり、運行供用者責任(運行によって他人の身体を害した)が問われるような、法律上の賠償責任がある事故を対応します。
これらは民法と自賠法に記載されている内容です。
ただ、今回の件で過失割合の考え方が大きく変わる可能性があります。
今まではどこの自動車保険会社も、一般道路であれば「判例タイムズ154」、高速道路であれば「判例タイムズ328」という判例を準用して、前方車両(加害者):後方車両(被害者)=30:70 (一般道)、50:50(高速上)からスタートする判例を使っていました。
え、あおった側の方が過失って少ないの?という声が聞こえてきそうですが…
実は驚くことに、あおり運転での保険の対応上は、加害者側が過失が少ない所からの話がスタートになるのですね。
理由は、日本の交通事故における民事での判例では、後方車両の「前方不注意」や「車間距離の保持違反」が最も大きく過失を問われるからです。
「後方の運転者が悪い」と、日本の民事上では決まってしまっていると思っていいでしょう。
おそらく、今後は、判例タイムズ上にあおり運転の判例が追記され、追突事故は2分されると考えます。
あおり運転が立証できれば、「加害者100:被害者0」というように、追突事故の事故形態でも前方の運転者が悪いといえるような判例を使っていくことになると思います。
※現にできる損保担当者は、あおり運転の裁判判例( 名古屋地裁 2016年(平成28年)1月22日判決 )などを使って加害者100:被害者0 で解決していますが、まだまだこれで解決できる事例は少ないです。
3. あおり運転で気を付けるポイント

あおり運転を対処するためには、ドライブレコーダーの設置が必須です。
これらのあおり運転を証明するためには、「ドライブレコーダーの映像がある場合に限り」という前提条件があります。
これを忘れないようにしましょう。
いくら法律が改正しようが、刑事処分、行政処分が重くなったであれ、ドライブレコーダーをつけて動画として記録していなければ、すべて意味のないことになるんです。
むしろ、僕はドライブレコーダーを義務化する法律に変えてもらいたい位です。
そうすれば、世の中のあおり運転を確実に摘発できるのになと常々思います。
なので、まずドライブレコーダーを付けていない人は、今すぐドライブレコーダーを買いに行ってください。
できれば、前方、後方にドライブレコーダーをつけることをおすすめします。
理由は後方からの接近によるあおられ運転の方が割合的に多いからです。

引用元:gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASMD65T58MD6UTIL05T.html
まずはドライブレコーダーを購入しましょう。
また「尼崎の当て逃げ逃走事故」の記事で、このような事故に遭った場合の対処法も記載していますので、是非一読いただけたらと思います。
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