1. 煽り(あおり)運転の道交法改正案のポイントを徹底解説します!





1-1. この記事の目的

この記事では「煽り(あおり)運転の道交法改正案のポイント」について詳しく解説をします。
この記事の目的は3つあります。
- 煽り(あおり)運転 の道交法改正のポイントがわかる。
- 煽り(あおり)運転 がわかる。
- 煽り(あおり)運転の道交法改正案において、ドライブレコーダーが必須であることがわかる。
それでは早速みていきましょう。

損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 煽り(あおり)運転の道交法改正案の概要

煽り(あおり)運転の法改正案概要を詳しく記載した1つのニュースを紹介します。
日本経済新聞からの抜粋です。
前方の車との距離を詰めるなどの「あおり運転」の厳罰化に向け、3日固まった道路交通法改正案には妨害運転に対する罰則が盛り込まれた。高速道路上で他の車を停止させた場合の罰則の上限は懲役5年。他の車の妨害を目的とした割り込みや幅寄せなどをした場合は懲役3年以下などとした。通常国会に法案を提出し、成立すれば2020年中に施行される。
あおり運転は17年、神奈川県の東名高速道路で無理やり車を停止させられた夫婦がトラックに追突され死亡した事故を機に問題化した。こうした運転を直接取り締まる法規制はなく、警察庁が道交法改正を議論していた。
改正案によると、高速道路上で他の車を止めたり、あおり運転によって衝突事故を起こしたりした場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。違反したドライバーは1回の摘発で免許取り消し処分とする。
事故を起こさなくても、他の車の通行を妨害する目的で前方の車との距離を詰めたり急ブレーキをかけたりして交通の危険を生じさせた場合の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金とした。こうした運転に適用されることがある刑法の暴行罪(2年以下の懲役など)よりも重くした。
妨害目的かどうかはドライブレコーダーに映った状況などから捜査当局が判断する。
法務省はこれとは別に、他の車の前で停車する妨害運転について、自動車運転処罰法の危険運転の類型の一つとして加える方向で検討している。東名高速道路の事故のような停車行為による死傷事故は、死亡事故で上限が懲役20年の同法違反罪が適用される見通しだ。
引用元:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56305590T00C20A3CR0000/
これを基に煽り(あおり)運転の道交法改正案のポイントを考察していきます。
3. 煽り(あおり)運転の道交法改正案で変わること

今回の煽り(あおり)運転の道交法改正案で何が変わるかを考察していきます。
変わることとしては、2つあります。
- 煽り(あおり)運転 を「他の車の通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせる恐れのある行為」と規定した
- 刑事処分と行政処分をより重くした
です。
今までの道交法にはあおり運転を直接取り締まる規定がなく、刑法(暴行罪など)、や道路交通法の「車間距離保持義務違反」(3カ月以下の懲役など)を準用する形で取り締まっていたのですね。
ただ、これまでの刑法や道路交通法の「車間距離保持義務違反」を準用するだけだと、加害者側への 刑事責任・行政責任は「軽く」で済んでいました。
刑事上の処分だと、現行では「車間距離保持義務違反」であれば罰則は高速道路が3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、一般道が5万円以下の罰金だけでした。
また行政上の処分だと、現行では高速道路等での「車間距離保持義務違反」は基礎点数2点減点、普通車の場合は反則金9000円。それ以外の道路では基礎点数1点、反則金は同6000円なんですね。
言ってしまえば「たったこれだけの刑事上の処分と行政上の処分」で加害者は済んでいたのですね。
これが、今回での煽り(あおり)運転の道交法改正案では、
- 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 高速道路でほかの車を停止させるなどした場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金
<行政処分>
- 免許取り消し
このような案が閣議決定されました。
まあ、大分重くなったわけですね、刑事処分も行政処分も。
罰則に関しては、以前から暴行罪(2年以下の懲役など)と同等かより重くなるだろうと言われていましたので、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」は大分罪が重くなりました。
ちなみに、東名高速道路の事故のような停車行為による死傷事故は、死亡事故で上限が懲役20年の同法違反罪が適用される見通しとのことで、こちらもかなり重い刑罰になる予定です。
4. 煽り(あおり)運転の保険上の対応

自動車保険 (民事上)の 煽り(あおり)運転の対応は、今までと変わらず「車同士が衝突している」、もしくは「 受傷している」ような事故のみを対応していきます。
煽り(あおり)運転で、接触のない、もしくは受傷がないものはそもそも自動車保険の対象外になります。
補足ですが、自動車保険 (民事上) で対応する際の前提条件として、不法行為(相手のモノに損害を与えた)があったり、運行供用者責任(運行によって他人の身体を害した)が問われるような、法律上の賠償責任がある事故を対応します。
これらは民法と自賠法に記載されている内容です。
ただ、今回の煽り(あおり)運転の道交法改正案で過失割合の考え方が大きく変わる可能性があります。
今までは前方の車両が急ブレーキをかけて衝突する「追突事故」に関しては、どこの自動車保険会社も、一般道路であれば「判例タイムズ154」、高速道路であれば「判例タイムズ328」という判例を準用して、前方車両(加害者):後方車両(被害者)=30:70 (一般道)、50:50(高速上)からスタートする判例を使っていました。
A:B=30:70
A:B=50:50
引用元:元示談担当者が教える交通事故の交渉術
http://www.jiko-jidan.net/%E7%9B%B8%E6%89%8B%E3%81%8C%E6%80%A5%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%82%92%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%9F%E3%81%9B%E3%81%84%E3%81%A7%E8%BF%BD%E7%AA%81%E3%81%97%E3%81%9F%E5%A0%B4%E5%90%88%E3%80%81/
え、あおった側の方が過失って少ないの?という声が聞こえてきそうですが…
実は驚くことに、 煽り(あおり)運転 での保険の対応上は、急ブレーキをワザとかけた方が過失が少ない所からの話がスタートになるのですね。
理由は、日本の交通事故における民事での判例では、後方車両の「前方不注意」や「車間距離の保持違反」が最も大きく過失を問われるからです。
「後方の運転者が悪い」という雰囲気で、日本の民事上では決まってしまっていると思っていいでしょう。
おそらく、 今回の煽り(あおり)運転の道交法改正案を受けて、民事の過失割合自体も見直しが入る可能性があります。
判例タイムズ上に煽り(あおり)運転の判例が追記され、追突事故は2分されると考えます。
煽り(あおり)運転が立証できれば、「加害者100:被害者0」というように、追突事故の事故形態でも前方の運転者が悪いといえるような判例を使っていくことになると思います。
※現にできる損保担当者は、 煽り(あおり)運転の裁判判例( 名古屋地裁 2016年(平成28年)1月22日判決 )などを使って加害者100:被害者0 で解決していますが、まだまだこれで解決できる事例は少ないです。
5. 煽り(あおり)運転を立証するために、ドライブレコーダーは必須です

煽り(あおり)運転 を対処するためには、ドライブレコーダーの設置が必須です。
煽り(あおり)運転の道交法改正案をつらつらと説明してきましたが、これが一番大事なポイントです!
これらの 煽り(あおり)運転を証明するためには、「ドライブレコーダーの映像がある場合に限り刑事処分や行政処分が加害者に下される」という大前提があります。
これを忘れないようにしましょう。
いくら法律が改正しようが、刑事処分、行政処分が重くなったであれ、ドライブレコーダーをつけて動画として記録していなければ、すべて法改正は意味のないことになるんです。
むしろ、僕はドライブレコーダーを義務化する法律に変えてもらいたかった位です。
そうすれば、世の中のあおり運転を確実に摘発できるし、件数も減るのになと思います。
なので、まずドライブレコーダーを付けていない人は、今すぐドライブレコーダーを買いに行ってください。
僕の記載した記事で、「ドライブレコーダーの選び方」を記載しています。
ちなみに、「ドライブレコーダーの選び方」ですが、僕は何百回と保険会社に勤めていた際にこのドライブレコーダー の動画を見て事故状況を判断してきた経験があります。
この 「ドライブレコーダーの選び方」 の記事に関しては、正直有料で見れるようにした方が良いんじゃないかと思うくらい、ちゃんと作りこんでいます。
是非参照してみてください。
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できれば、前方、後方にドライブレコーダーをつけることをおすすめします。
理由は後方からの接近によるあおられ運転の方が割合的に多いからです。