1. 尼崎の当て逃げ逃走について解説します!
1-1. この記事の目的
この記事では「11月17日午前6時半ごろ、兵庫県尼崎市尼崎で起きた当て逃げ事故」について詳しく解説をします。
この記事の目的は3つあります。
- 今回の事故の対処法を理解できる。
- 刑事上の対応、行政上の対応がわかる。
- 保険の事故処理の流れを理解できる。
それでは早速みていきましょう。
損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 尼崎の当て逃げ逃走事故の概要
11月17日午前6時半ごろ、兵庫県尼崎市兵庫県尼崎市南塚口7-21-21 付近の交差点で赤信号を無視した赤いアルファードが、対向車線で信号待ちをしていた被害車両に衝突をした事故が発生しました。
赤いアルファードの加害車両は、 赤信号を無視し 時速10km~15kmのスピードで、交差点に進入したのち、被害車両に衝突しました。
被害車両はクラクションを鳴らしたにもかかわらず、被害車両は直進を続け、そのまま被害車両に正面から衝突しています。
また加害車両の後部座席から同乗者が降り、被害者を恫喝していることが映像からわかります。
3. 尼崎の当て逃げ逃走、民事上の過失割合
民事上の過失割合は、加害者100:被害者0です。
(当たり前ですが)
判例タイムズ150図のセンターラインオーバーでもありますし、 出会い頭接触とはいえないまでも、判例タイムズ98図の出会いがしら赤信号無視を準用するのも妥当かと思われます。
いずれも過去の判例に照らし合わせると、加害者100:被害者0になります。
4. 尼崎の当て逃げ逃走、刑事上の処分
刑事上の処分ですが、今回の事故は「 報告義務違反」や「危険防止等措置義務違反」に問われる可能性があります。
まず事故を起こした場合、適切な措置を講じて警察に報告しなければならない義務があります。
これは道路交通法72条にしっかり明記されており、これを怠った場合は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金に処される可能性があります。
処罰に関しては道路交通法119条第1項10号にしっかり根拠が明記されています。
また事故によって道路上に危険が生じた場合、運転手はそれを防止する措置を講じなければなりません。
この措置を講じなかった場合、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられます。
これは道路交通法117条の5に明記されています。
5. 尼崎の当て逃げ逃走、行政上の責任
今回の場合、被害者が病院に受診するかしないかで、行政上の処分は変わってきます。
仮に病院に受診せず、物損事故での警察への届け出で完了した場合、本来は加害者に違反点数が加算されることはありません。
(是非病院に知って人身事故にしてもらいたいところですが…)
しかし今回のように物損事故後に逃走した場合、以下のような違反点数が加算される可能性も十分考えられます。
- 危険防止等措置義務違反:5点
- 安全運転義務違反:2点
こんな感じですね。
ちなみに被害者が病院へ受診し、人身事故で警察の処理が完了した場合は、さらに加害者側に下記のような違反点数が加算される可能性があります。
- 基礎点数:2点 (赤信号無視)
- 付加点数:3点 (おそらく治療期間が15日未満の診断書発行と思うので)
合計:12点
免停を超えて免許取消しですね。
6. 尼崎の当て逃げ逃走事故の対処法
では、今回のような事故にあった時、どのように対処したら良いかを、今回の被害者の動きと照らし合わして話していきます。
6-1. 被害者の対応
まずはドライブレコーダーをつけていたことが大正解でした。
ドライブレコーダーに事故の一部始終が動画として残っていたため、相手方の犯罪行為がはっきりつかめ、先ほど述べた刑事上の処分や行政上の処分はスムーズに進んでいくことでしょう。
今回の事故で、 ドライブレコーダーをつけていなかった場合、おそらく加害者を特定したとしても、加害者は「自分は何もしていない」と主張し、事故解決が迷宮入りしていた可能性があります。
やはりドライブレコーダーは運転する上で、本当に「救世主」になりますね。
そしてすぐにハンズフリーで警察に連絡していたことも正解です。
警察へ一部始終も連携を取りながら対応していたので、これもしっかり警察に証拠を残せる結果となり、このとっさの判断は素晴らしいですね。
ただし、最後に相手の車両を追跡していたことに関しては、これはやめた方が良いです。
理由は、2次被害に巻き込まれる可能性があるからです。
加害者が犯罪グループやかたぎの人であれば、本当に危ないです。
特に今回はドライブレコーダーに映像として残っており、加害車両のナンバープレートをいる為、その時点で今後の交渉を被害者側が有利に事を進めることが可能です。
相手のナンバープレートや顔を動画として残せたら、威嚇せずその場を逃げる。
これが重要です。
6-2. 今後の保険対応について
今回の事故の場合、民事上の処理(保険上の処理)は、かなり困難な処理になることが予想できます。
理由は、加害者側がまったく反省をしない可能性があることと、任意保険に加入していない可能性が予想されるからです。
僕のこれまでの査定経験上、このような加害者はそもそも任意保険に加入していない輩が多いです。
むしろ任意保険に加入していないから、逃走を図った可能性もあると私は見ています。
加害者が任意保険に加入していれば、加害者の任意保険(今回の場合は対物保険)を使い、車の損害を賠償してもらいます。
加害者が任意保険に加入していなければ、被害者の任意保険(今回の場合は車両保険)を自身で使い、車の損害を補償してもらいます。
相手方が任意保険に加入していることを祈りますが、加入していないかつ被害者も車両保険に加入していなければ、被害者側も弁護士を介入させることも視野に入れた方がよさそうですね。
7. まとめ、尼崎の逃走当て逃げ事故
今回の事故を踏まえ、私から言えることは4つあります。
- 万が一に備え、ドライブレコーダーをつけましょう
- 自身の車両保険は保険料(掛け金)に余裕があれば、付帯しましょう
- 弁護士費用特約を付帯しましょう
- 加害者から威嚇されたら、証拠だけとらえ、その場をやり過ごし、逃げましょう
当て逃げに遭遇する可能性は一般の事故に比べたら少ないのですが、遭遇してしまったら、対策をしっかりとっていないと泣き寝入りにあうことが多いんです。
そういったリスクに備える意味でも、上記の4点は対応された方が無難です。
一度、上記4点を見直しされることをおすすめします。