「示談交渉サービス」って何?
各自動車保険会社に付帯している、「示談交渉サービス」ですが、今日はこの示談交渉サービスについて話をします。
まず示談交渉とは何かと言いますと、
示談交渉を当事者本人に代わって保険会社の担当者が行うサービスのことです。
事故にあった場合、かなりの煩雑な処理や交渉が必要になるのですが、そういった煩わし手続きを全て保険会社が代行します、といったサービスになります。
示談交渉と言えば、相手方との交渉だけをイメージする方がいますが、それだけではありません。
示談交渉の際に付随する業務が沢山あります。
具体的な事故処理とは、
- 事故相手方への過失割合の交渉
- 修理工場との車の修理額の協定作業
- レンタカー、レッカーの金額協定作業
- 事故証明書の発行手続き
- 事故現場の復旧作業手配
- 医療機関への診断書取り付け
- 医療機関への治療費支払い
- 自賠責保険の現存確認
- 示談書作成
- 当事者間の示談書取り交わし
- 後遺障害の申請手続き
などですね。これらはまだごく一部なのですが、他にもたくさん付随する処理があります。
これらの業務を含めて代行するサービスが、「示談交渉サービス」なのですね。
示談交渉の歴史
遡ること昭和49年、日本で初めて示談交渉サービスを行う、家庭用自動車保険が販売されました。
当時「示談交渉サービス」はもともと、対人保険に付随しているサービスで、対人保険のみのサービスでした。
それ以前の自動車保険では、示談交渉は保険会社で行うことができなく、弁護士のみの特権だったのですね。
そして、昭和57年には、この「示談交渉サービス」を対物保険でもつけてもらいたいというニーズから、対物保険においても示談交渉サービスが付いた商品が販売されることとなります。
非弁行為
弁護士法第72条において、弁護士でないものが報酬を得る目的で、業として他人の法律事務を取り扱ういわゆる非弁活動を禁止しています。
実はこの示談交渉ですが、過去に日本弁護士連合会(日弁連)から、弁護士法第72条に抵触するのではと、問題に出された事がありました。
そもそも保険会社が示談交渉を行うことが法律違反と言われていたのですね。
そして保険会社と日弁連との間で度重なる協議を重ねた結果、昭和48年に対人示談代行の合法性が認められ、昭和57年には対物示談の代行の合法性が認められる事になったのです。
保険会社が示談交渉を行えるようになった代償
この様な歴史から、保険会社が示談交渉を行える様になるのですが、日弁連と保険会社は次の事を協定しました。
- 被害者の直接請求権の導入
- 任意保険の基準の作成
- 交通事故紛争処理センターの設置
これらはまた別の記事で詳しく紹介したいと思うのですが、被害者を守る為にこれらの3つの約束を保険会社と日弁連で取り交わしたのです。
いずれも被害者が泣き寝入りをしない様に、理不尽な事を免れる為に作られたものになります。
無過失の場合、保険会社は示談交渉が行えない?
今までの説明してきた「示談交渉サービス」ですが、あくまでも相手方に賠償する対人保険、対物保険を使用する前提で保険会社は示談交渉を行います。
ですので、例えばあなたに過失割合の無い事故の場合、あなたの保険会社に「示談交渉を相手に対して行ってもらいたい」と要望しても、あなたの保険会社は相手に賠償するものが無いので、示談交渉を行うことができないのですね。
そもそも過失割合が0の事故の場合、相手方から100%賠償してもらえる為、対人保険と対物保険を使用する必要が無いです。
ここの原理原則を理解しましょう。
出島Zが現場にいた時も、よくこの要望はありました。
「自分は無過失で相手方が一方的に悪い!でも自分は保険に詳しく無いから、保険会社から相手に話をしてもらいたい!」
という要望です。
でも、先ほどから話をしています「示談交渉サービス」は、双方過失がある場合や0:100で自分に落ち度がある相手に賠償するものがある場合にしか使用できないのですね。
もし0:100の事故で保険会社から相手方へ交渉をしてしまえば、
弁護士法第72条(非弁行為)に抵触する恐れがあるのです。
この場合は保険会社は示談交渉ができないのです。
自分の無過失を主張したい時
それでも自身の無過失を交渉したい時の方法を教えます。
①まずはあなたの自動車保険で、「弁護士費用特約」を付帯しているか確認してみましょう。
弁護士は無過失を主張できますので、無過失を主張したい時は弁護士にお任せしましょう。
②保険会社に、過去の判例を検索してもらい、それらの判例を基にあなた自身で、相手もしくは相手保険会社に主張してみましょう。
過去の判例と言えば、まずは「判例タイムズ」になると思うのですが、該当する事故形態の判例タイムズの資料を確認し、基本の過失割合から修正項目を調べ、相手へ交渉してみましょう。
③少額訴訟を提起してみましょう。
損害額が60万円以下の場合、少額訴訟を提起できます。ここはまた別の記事で詳しく記載したいと思います。
④紛争処理センターへ相談してみましょう。
相手が保険会社が介入している交通事故の場合、被害者保護のために公益財団法人の紛争処理センターというところで、事故解決の斡旋を行なってくれます。
ここも詳しくまた別の記事で記載したいと思います。