治療期間は、何を根拠にいつまで認定されるの?
事故に遭い怪我をして病院に通う事になった際、どれくらいの治療期間を保険会社が対応してくれるか、気になりますよね?
いつまで保険会社は治療費を支払ってくれるのか?
何を根拠に治療期間を決めているのか?
という疑問は、被害者の皆さん共通で考えることだと思います。
今日はこのテーマを詳しくお話ししていきます。
事故状況を踏まえて、医学的観点を基に、賠償の観点から治療期間を総合的に判断
保険会社は
①事故の状況を踏まえて
②医学的観点を基に
③賠償の観点から
治療期間を総合的に判断しています。
少しこれを噛み砕いて話していきます。
①事故状況を踏まえて
まずは事故の状況から怪我がどの様に生じたかを保険会社は調査します。
追突事故でも、
- 時速2-3kmで前方の車にコツンと当たった場合
- 時速80kmで前方で止まっている車に当たった場合
では当然後者の方が怪我の発生の有無、怪我の大小は容易に想定できますよね。
受傷機転(どのような事故でどのような怪我が発生するか)と言うのですが、この受傷機転でどの様な怪我が発症したのかをまず調査します。
②医学的観点
医師は患者さんの訴えを聞き(問診をし)、症状のある箇所を触って(触診をし)、必要と判断した場合にはレントゲンなどの精密検査を行います。
そして患者の症状に応じて投薬、装具療法やリハビリなど様々な治療方法の中から、必要な方法を選択し、効果的な治療を行います。
医師が患者さんの訴えや症状を確認し、それに応じた治療を行う事。
これが医学的観点です。
そして医師の判断する治療終了時期の見解を参考にします。
ちなみに余談ですが、この医学的な観点では、あくまでも患者の症状に応じた治療を行うので、医師は交通事故があった事実を口頭で確認しますが、事故の物的証拠を確認せず、患者さんの症状だけを診て治療を進めていきます。
③賠償の観点
事故状況の内容、被害者の訴え、毎月病院から送られてくる診断書明細書・レントゲン画像、そして過去の判例等を総合的に検討し治療期間を判断します。
賠償とは、法律の基に定められている事に則り対応を進めますので、過去の判例や事件を用いながら対応していきます、
これが賠償の観点です。
このように、保険会社は、
事故状況を踏まえて、医学的観点を基に賠償の観点から治療期間を総合的に判断します。
この言葉は大きなキーワードです。
よく勘違いするのが、交通事故での治療期間は
医者だけが決めると思いがちですが、そうではありません。
この言葉通り、「医学的観点を基に」しているので、医学的な見解や客観的なデータをもちろん参考にします。
ですが、交通事故の場合は持病や自身で負傷した怪我で病院にかかる場合とは違い、医師の判断のみで治療期間を決めていけるものではないのです。
交通事故での治療期間は、保険金を支払う立場の保険会社、
ならびに
裁判所(治療期間を争う裁判になった場合に限る)、
が判断をします。
あくまでも治療費の出所は保険会社になりますので、保険会社が判断をします。
また医学的観点は参考材料とするのです。
治療期間
保険会社は、
- 軽症
- 重症
をまず区分します。
軽症と言われるものは、打撲、捻挫、擦過傷、むち打ち、一部の骨折と言われる症状です。
重症と言われるものは、骨折、手術を伴う傷病です。
重症については、各患者に応じて治療期間を判断していきますが、軽傷と言われる症状の場合は、他覚的初見のないような打撲傷、挫傷などが多く、そのような症状は事故から3ヶ月というのが一つの目安になります。
※軽傷ついては詳しく別記事にて解説します。
まとめ
まとめますと、交通事故での治療期間は、
①事故の状況を踏まえて
②医学的観点を基に
③賠償の観点から
A.保険会社
B.裁判所(治療期間を争う裁判になった場合に限る)
が判断します。
また治療期間は、
α.軽傷(他覚的所見のない打撲、捻挫、擦過傷、むち打ち、一部骨折)
β.重症(骨折や手術を伴う傷病)
に区別され、
α.軽傷は事故から2-3ヶ月
β.重症は個別に判断
という事になります。
是非頭の片隅に残していただけたらと思います。