1.損保ジャパンの炎上を徹底解説します!
新車から大切に大切に乗り続けた車を奪われて、乗り続ける事も乗り換える事も出来ないのです。』というものだね。
『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』とね。
1-1. この記事の目的
この記事では「 損保ジャパンの炎上 」ついて詳しく解説をします。
この記事の目的は3つあります。
- 損保ジャパンの炎上の原因について理解できる。
- 損保ジャパンの炎上の本質について理解できる。
- 被害者の立場に立った時の対策がわかる。
出島Z
損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 損保ジャパンの炎上についての概要
最近ツイッター上で損保ジャパンに関する記事が炎上していました。
そのきっかけとなったのがこのツイートです。
概要としては、「投稿者が11月30日に高速道路上で追突被害事故にあい、後方の加害者側の任意保険である損保ジャパンの担当者から修理額、買い替え諸費用を拒まれた」というものです。
このツイートに多くのコメントが寄せられ、4万を超える「いいね」や「リツイート」で拡散されました。
またそれを発端に、損保ジャパンの対応が悪いとの声が次々と上がり、その他の損保ジャパン日本興亜に関する情報が拡散されました。
例えばこのようなツイートです。
概要としては、「投稿者が、 損保ジャパンお断りの病院があるとのツイートを投稿し、その内容の画像が拡散されたもの」です。
こちたも瞬く間に2万9千の「いいね」と3万の「リツイート」で拡散されました。
3. 損保ジャパンの炎上について、1つ目のツイートの考察
高速道路上で追突被害事故についてのツイートは、冒頭のコメントのやり取りでに述べたように、「全損の車に対しての賠償の範囲」に関しての問題でして、この手の全損車両の賠償額については、かなりの確率で被害者と保険会社間で揉めてしまいます。
被害者としては、
- 修理額を全額賠償してもらいたい
- 新しい車を用意してもらいたい
との気持ちがあり、
保険会社の立場としては、
- 日本の法律に則った損害賠償を行わなければならない
- その場合、時価賠償しか対応できない
との主張があるので、どうしても折り合いがつかないのですね。
日本では民法第709条で下記のように定められています。
『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』
またその賠償される車に関して、修理ができないと判断(全損と言います)された場合、車の時価を限度に賠償されることになります。
その根拠が、これです。
『自動車の事故当時における時価額とは、原則として、これと同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価格によって定める。』
最高裁の昭和49年4月15日の判決
なので、全損と判断された場合は、事故車と同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場で探し、その車を取得できる金額が認定されることになります。
今回の投稿者のツイートでは、 『修理費も全額払わないが、買い替えにかかる費用も払わないと連絡がありました。 』との記述がありましたが、もっとこれを具体的に再現しますと、
『損保ジャパンは自分の車を全損と判断し、修理費は時価を上回るため、修理額全額の賠償ができないと主張してきた。また買い替えにかかる費用に関しても、自分が欲しい新しい車の本体価格や買い替え諸費が事故車の中古車市場の金額を上回るため、賠償できないと連絡がありました。 』との話をしているのです。
僕も損保職員として、この話を100回以上はしてきたので、リアルにこのやり取りはわかります。
確かにこれでは被害者は納得いかないですよね。
4. 損保ジャパンの炎上について、1つ目のツイートの解決策
では、この被害者は損保ジャパンの担当者からこんなことを主張されたら、どうすれば解決できるのでしょうか。
解決策をいくつか紹介します。
- 被害者の任意保険の車両保険+無過失事故特約があれば、使用する。
- 損保ジャパンの契約に「対物超過特約」があるかを確認し、あれば使ってもらい修理する。
- 「goo-net」や「カーセンサー」で事故車と同一の車種・年式・型・同程度の使用状態・走行距離等の物を調べ、金額の高いものを損保ジャパン日本興亜に提出して金額の交渉を行う。
- 買い替え諸費用等を損害額と認めた裁判例( 東京地裁平成22年2月10日判決、大阪地裁堺支部平成22年1月18日判決 )を使い、買い替え諸費用を認定させる。
- 使っている代車を早々と引き上げ、その早々と引き上げた期間の代車費用を時価に上乗せしてもらう。
これらを使えば、おそらくうまく解決できます。
「 無過失事故特約 」「対物超過特約」はネットでググってください。
「無過失事故特約 」はもらい事故の場合、あなたの自動車保険(車両保険)を使用しても等級が下がらない(被害者にペナルティーがない)特約です。
「対物超過特約」 は時価を超えて修理額まで認定してもらえる特約です。
①に関しては、被害者が車両保険+無過失事故特約に加入している場合に限り対応できます。
②に関しては、車をみると骨格がかなり破損していますので、対物超過特約を使っての修理はあまりおすすめしませんが、修理ができるのであればこれも確認すべきです。
③に関しては、時価の条件があるのであれば、それに則って中古車市場の高い時価のものを根拠をもって提示していきます。
④に関しては、裁判例では否認されているケースもあるのですが、買い替え諸費用+時価を認定しているケースもあるので、それらを根拠に買い替え諸費用+時価を交渉していきます。
⑤に関しては、一番有効的なのですが、代車費用ももちろん加害者側の損保ジャパンが支払うのですが、その代車費用を抑える代わりに時価に上乗せしてよという手法です。
これらを駆使すれば、ほとんどが解決できます。
5. 損保ジャパンの炎上について、2つ目のツイートの考察
2つ目のツイートですが、実はこれ、損保ジャパンがこの整形外科に何かをやらかしてお断りになった訳ではないんですね。
内容を要約しますとこうなります。
という事なので、むしろ逆で、損保ジャパンがちとせ町整形外科に自賠一括サービスができませんとお断りをしているんですね。
おそらく交通事故扱いにくる患者の治療費で、ちとせ町整形が損保ジャパンに請求していた自由診療の点数が高いものを請求していたのか、意図的に被害者を匿って長期治療を進める病院なのか、理由は定かではありませんが、損保ジャパンがちとせ町整形に自賠責一括を拒否しています。
自賠責一括サービスはネットでググってください。
これに関しては、特に解決策はないのですが、損保ジャパンだけでなく、医療機関では特定の自動車保険会社の対応を拒んでいることがたまにあります。
交通事故の対応で、医療機関と保険会社間で何かしらのトラブルが過去にあった場合にこのようなことがあります。
もし被害者の立場になった際は、特定の保険会社からの対応を拒否しているかは事前に確認をしておいた方が良いでしょう。
もしこのような形で特定の保険会社の対応を拒んでいる医療機関であれば、
- 他の医療機関で治療を行う。
- 本人が一旦立替え、任意保険会社に後日清算してもらう
このような対応を行いましょう。
この損保ジャパンとちとせ町整形外科間のトラブルにこれ以上の言及はできないのですが、少なくともちとせ町整形外科の文言を見る限り、ちとせ町整形外科の対応に誤りがあることはわかります。
事故の被害者の方が事故で受診される場合は、原則健康保険が使用できませんので
との文言ですが、交通事故で健康保険は使用できます。
「第三者行為による傷病届け」を健康保険に申請すれば、誰でも健康保険は使用できますし、これを断ればむしろ医療機関が厚生労働省から指導を受けます。
ネットで 「第三者行為による傷病届け」 をググれば事故で健康保険が使用できることはすぐに出てきます。
この記事が炎上したのは、一つ目のツイートがきっかけとなり、被害者に同情する人たちがリツイートを行い、炎上してしまったようです。
6. 損保ジャパンの炎上について(まとめ)
今回の損保ジャパンの炎上についてですが、確かに担当者とのやり取りで、担当者側にもその他要因の落ち度があった可能性はあります。
こればかりは当事者間のやり取りなのでわからないところはあるのですが。
総じて言えることは、損保ジャパンだけでなく、その他の保険会社でもこのような対応をされる可能性がありますし、皆さんにもそのリスクはあるということです。
飽くまでもこれは氷山の一角の事例であり、この内容であれば、日々色んな保険会社が被害者に対してしていることなのです。
今回の損保ジャパンの炎上は、損保ジャパンという会社が巨大な大手損保でもあり、その大きさあまりに、損保ジャパンに不満を持つ被害者が多く世の中に存在することが露呈されたように感じます。
下の表がその根拠です。
保険会社名 | 正味収入保険料 | 当期純利益 |
東京海上日動 | 2,144,780 (自動車 1,064,407 ) | 253,895 |
損保ジャパン日本興亜 | 2,168,009 (自動車 1,078,546) | 170,032 |
三井住友海上 | 1,500,326 (自動車 659,204 ) | 198,237 |
ソニー損保 | 108,254 (自動車 97,880 ) | 4,821 |
2017年度決算報告から ※単位は“百万円
引用元:日本損保協会
http://www.sonpo.or.jp/member/gaikyou/quarterly/2018/#sjnk
損保ジャパンの自動車の分野における正味収入保険料(いわゆる売上にあたる項目)はネット型保険で最大手と言われているソニー損保の正味収入保険料の10倍以上なので、いかに契約数が多いかわかりますよね。
皆さんがこのような被害者の立場になれば、上記で書いたようなことをしっかり行い自己防衛をするしかないのです。
また必要があれば、弁護士に相談し、弁護士を窓口に交渉をしてもらうこともおススメです。
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こんな感じのニュースで取り上げられる記事をちょくちょく考察しています。