賠償とは
交通事故を起こしてしまい、
自分が加害者の立場になってしまった場合、被害を被った物や人に対して損害賠償を行わなければなりません。
物を破損させた場合は、それらを修復させてあげないといけないですし、怪我を負わせてしまったら、元の身体に戻すための費用を補填してあげないといけないのです。
これは民法、自賠法、という法律で定められています。
そして、賠償する額は責任割合分を相手に賠償する事になります。
過失割合は何を根拠に決める?
前回、【第三者の目撃者の重要性】の記事でもお話ししたように、交通事故は殆どの事故が、双方過失割合が発生するケースが多いと言いました。
意外と0:100の事故のケース自体が珍しいのです。
では、そもそも過失割合とは、どのように決められているのでしょうか?
気になりますよね…
結論から言いますと、
過失割合とは、法律上決められているものでも、警察が決めるものでもなく、
過去の判例を基に一つ一つの事故に類似する判例を当てはめて決めている
というのが答えです。
過失割合の根拠
東京地方裁判所民事第27部という、民事訴訟事件において、交通事故に関する事件のみを取り扱う専門部が存在します。
ここの専門部が、過去の交通事故の裁判判例や最近の実情を基に作り上げた、
別冊 判例タイムズ38
という判例集がありまして、保険会社や弁護士はこの本を基に、割合を判断しています。
この本が、交通事故の過失割合のおおよそを判断するツールとなっています。
また、毎年話題となる交通事故の考え方を講演録としてまとめている、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(赤い本と言われる本)の下巻なども使って過失割合を判断しています。
これらの本を参考に、過失割合を決めていっています。
過失割合は誰が決めるのか?
過失割合は誰が決めるのか?ですが、
それは、
・保険会社が、示談交渉サービスを使い、
・弁護士が、職権を行使し、
・裁判所が、判決を出し、
決めてるのです。
正直な話、これらの判例タイムズを参照せずに、当事者同士で納得する過失割合で解決しても別に何ら問題はないのです。
それで和解できるのであれば全然OKなのです。
ただ、事故というものは、誰かが傷ついたり、壊れているものがある訳なので、素人が過失割合を決めて損害額を出せるものでもありませんよね?
車の修理代だって高くつきますし、怪我の治療費だって沢山通院したらバカにならないのです。
ですので、基本的には実務を知っている保険会社や弁護士に過失割合の交渉をしてもらい、それでも解決できない場合に裁判所にて争い裁判所から判決をもらうのです。
過失割合の参考例
少し具体的な事例をあげます。
例えば、片側2車線の左側車線をAさんが車で直進していた際に、片側2車線の右車線をAさんと同じ方向に車で走行していたBさんがいて、Aさんが左車線から右車線へ車線変更をし、Bさんの車に衝突したとします。
Aさんの車の修理額が30万円、Bさんの車の修理額は20万円です。
この場合は、まず判例タイムズ上では、153図に該当し、A:B=70:30になります。
特段の修正する要素がないと仮定した場合、
- AさんはBさんに14万円(Bさん修理代20万円×Aさん過失70%)
- BさんはAさんに9万円(Aさん修理代30万円×Aさん過失30%)
となります。お互いの損害額をお互いの過失割合を乗じて賠償し合うことになります。
まとめ
ご理解いただけましたか?
過失割合は、過去の判例を基に一つ一つの事故に類似する判例を当てはめて、保険会社や弁護士、裁判所が決めているのですね。
間違っても、警察に過失割合を尋ねてはいけません。
警察には民事不介入で、金銭問題が絡む事件には介入できません。
警察は過失割合を決める権限がないのです。
確かに警察は交通事故の原因をハッキリさせる資料(実況見分調書)を作成しますが、民事の手続きに影響を与える過失割合には一切介入できないんです。
また過失割合は、賠償金額を決める為の手段に過ぎないことも忘れてはいけません。
これは【過失割合を決める理由】で詳しく取り上げていますので、ご参照下さい。