1. 消費税増税で自動車保険料はどうなったの?解説します!
1-1. この記事の目的
この記事では「消費税増税で自動車保険料はどうなったか」について詳しく解説をします。
この記事の目的は3つあります。
- 消費税増税で自動車保険料はどうなったかがわかる。
- 消費税増税で自動車保険料はどうなっていくかの未来がわかる。
- 「民法改正」で自動車保険料が今後上がる見込みがあることがわかる。
それでは早速みていきましょう。
出島Z
損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 消費税増税で自動車保険料は上がっていません
消費税増税で自動車保険料はどうなったかについて解説していきます。
2019年10月から消費税が8%から10%に上がりました。
それに伴い、自動車保険の保険料(掛け金)がどうなったかと言いますと、
結論から言えば、増税によって自動車保険料は上がっていません。
理由は自動車保険料の支払は、そもそも消費税がかからない非課税取引となっているからです。
(非課税)
第六条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。
消費税法第六条
別表第一
三 利子を対価とする貸付金その他の政令で定める資産の貸付け、信用の保証としての役務の提供、所得税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する合同運用信託、同項第十五号に規定する公社債投資信託又は同項第十五号の二に規定する公社債等運用投資信託に係る信託報酬を対価とする役務の提供及び保険料を対価とする役務の提供(当該保険料が当該役務の提供に係る事務に要する費用の額とその他の部分とに区分して支払われることとされている契約で政令で定めるものに係る保険料(当該費用の額に相当する部分の金額に限る。)を対価とする役務の提供を除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの
消費税法第六条
もともと保険料(掛け金)には消費税がかかっていないので、消費税が10%に上がっても保険料が消費税分上がるということはないのですね。
3. 消費税増税で自動車保険金は上がっていません
消費税増税で自動車保険金はどうなったかについて解説していきます。
先ほどは契約者が収める保険料(掛け金)でしたが、今度は受け取る保険金が消費税増税によりどうなったかを解説します。
結論から言えば、増税によって受け取ることのできる自動車保険金は上がっていません。
理由は自動車保険金は、そもそも不課税取引であり消費税はかかりません。
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供(以下「資産の譲渡等」といいます。)が課税の対象となります。
したがって、次のような取引は、課税の対象となりません。
- (1) 給与・賃金・・・・雇用契約に基づく労働の対価であり、「事業」として行う資産の譲渡等の対価に当たらないからです。
- (2) 寄附金、祝金、見舞金、補助金等・・・・一般的に対価として支払われるものではないからです。
- (3) 無償による試供品や見本品の提供・・・・対価の支払いがないからです。
- (4) 保険金や共済金・・・・資産の譲渡等の対価といえないからです。
- (5) 株式の配当金やその他の出資分配金・・・・株主や出資者の地位に基づいて支払われるものであるからです。
- (6) 資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合・・・・資産の譲渡等に当たらないからです。
- (7) 心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金・・・・対価として支払われるものではないからです。
しかし、損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価性がありますので、課税の対象となります。
- イ 損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのままで使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合
- ロ 無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合
- ハ 事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合
引用元:国税庁
[平成31年4月1日現在法令等]
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6157.htm
保険金は資産の譲渡等の対価とはいえないため消費税の課税対象とはなりません。
ですので、もともと保険金の受け取りには消費税がかかっていないので、消費税が10%に上がっても保険金が消費税分上がるということはないのですね。
4. 消費税増税で今後の自動車保険料はどうなる?
消費税の増税による直接的な保険料(掛け金)の値上がりはないことを説明しました。
ですが2020年以降、間接的に保険料(掛け金)が値上がりする可能性はかなり高いです。
理由は、消費税が上がったことで保険金の支払いが増税前に比べて上がっているからです。
例えば、今回の消費税で交通事故に関わるもので保険金で支払う項目の内、値上がりしたものは下記の通りです。
- 事故証明書代
- 車の部品代
- 自由診療の診療報酬
- 診断書明細書代
- 施術証明書代
- 調剤報酬明細書代
- 後遺障害診断書代
- 差額ベッド代
- 患者の要求による特別提供の病院食
- 郵便料金
- 配送代
これらの金額が増税に伴い上がっています。
ではなぜこれらの金額が上がればなぜ保険料(掛け金)が高くなるのかを解説します。
4-1. 自動車保険の「収支相等の原則」とは?
自動車保険は、「収支相等の原則」の基で成り立っています。
「 収支相等の原則 」とは何かと言いますと、入ってきた保険料(掛け金)と出ていく保険金・経費は同じ金額でバランスよく成り立たせると言った考え方です。
今回の消費税の増税によって、保険金の支払いが増えることになりますので、 「 収支相等の原則 」 で考えた場合、バランスを保つためには保険料(掛け金)の収入も増やす必要がでてきます。
ですので、2020年以降は特に「任意保険」において保険料(掛け金)が各社上がることが予想できます。
5. 消費税増税以外の「民法改正」によって、自動車保険料は上がる
自動車保険料は、消費税増税以外の要素で値上がりをする可能性があります。
どんな要素で自動車保険料が値上がりするかと言いますと、2020年4月1日から始まる「改正民法」です。
なぜ「民法改正」によって自動車保険料が上がる可能性が高いかと言いますと、法定利率が変わることによって、保険金(後遺障害逸失利益)の賠償金額が大幅に上がるからです。
法定利率とは、 法律によって定められている日本での利率です。
法定利率の変更がいったいどのように影響するのか説明します。
(ちょっと難しいので飛ばして結論だけみてもらっても良いです)
法定利率は現行で年5%ですが、2020年4月から年3%に変更となり、また金利の情勢等に応じて3年ごとに見直されることとなります。
実はこの法定利率は後遺障害の逸失利益と呼ばれる項目で(ライプニッツ係数)と呼ばれるものに法定利率が使われているんです。
具体的な数字で表した例です。
収入額が 500 万円の方が、ご契約のお車を運転中に生じた事故で、後遺障害等級第 1 級(労働能力喪失率:100%)に認定された場合(症状固定時 32 才、労働能力喪失期間:35 年)の例
変更前
(2020 年 3 月 31 日以前に発生した事故の場合)
5,000,000 円(収入額)×100%(労働能力喪失率)×16.374(別紙付表 2「期間:35 年」のライプニッツ係数)=81,870,000 円変更後
(2020 年 4 月 1 日以降に発生した事故の場合)
5,000,000 円(収入額)×100%(労働能力喪失率)×21.487(別紙付表 2「期間:35 年」のライプニッツ係数)=107,435,000 円
引用元:三井住友海上
https://www.ms-ins.com/information/product/car/20190826_leibnizcoefficient/pdf/car_leibnizcoefficient_henkou.pdf
このように年収500万円の男性が後遺障害1級の等級を認定された場合、この男性の今後の労働喪失分の利益を保険会社は賠償しないといけないのですが、「民法改正」前の法定利率5%であれば、 81,870,000 円を賠償することになるのに対し、 「民法改正」後の法定利率3%であれば 107,435,000 円 を賠償することになります。
その差は25,565,000円!
今回は後遺障害1級と高い等級で、被害者の男性もまだ若い方なのでこのような数値になりましたが、このような類似する事故もたくさん保険会社は対応していますので、「民法改正」前と後で自動車保険会社が被害者に賠償する金額はかなり変わります。
元々日銀のマイナス金利政策の影響で市中金利も0%に近い状況になっており、今までの法定利率5%が高すぎたんですね。
先ほどの「収支相等の原則」に話が戻るのですが、保険会社が支払う保険金が増えれば、バランスを保つために 保険料(掛け金)も 値上がりします。
ですので2020年以降、自動車保険の保険料(掛け金)は大幅に上がることが予想できます。
6. 消費税増税と「民法改正」によって、自動車保険料は上がる
いかがでしたか?
自動車保険料や自動車保険金は2019年10月以降の消費税増税で値上がりはしませんでした。
ですが、消費税増税によって保険金で支払う項目のものが値上がりをしましたので、間接的に今後保険料(掛け金)が値上がる可能性があることを伝えました。
また消費税増税とは別に、「民法改正」によって法定利率が下がり保険金で支払う後遺障害逸失利益の金額が増え、 「収支相等の原則」 により2020年以降に自動車保険料が値上がりすることも伝えました。
保険料(掛け金)を支払う僕らからしたら、本当に最悪な未来ですね…
7. 消費税増税と「民法改正」によって、自動車保険料は上がるから、なるべく安い自動車保険を探そう
2020年以降に保険料(掛け金)が上がる可能性があると話ましたが、実際に各社の保険料(掛け金)が上がるのは2021年頃と予想しています。
理由は、自動車保険会社は、利益が出た場合は次の年に保険料(掛け金)を安くしたり、赤字が出た場合は、次の年に保険料(掛け金)を高くしたりするため、実際に保険金に大きく影響が出てくるのは2020年4月以降からになります。
(消費税増税による影響は既に出ていますが・・・・)
僕が以前書いた記事に、安い自動車保険やお得な自動車保険を紹介しているものがありますので、是非今のうちに安い自動車保険に切り替えたいという方は、こちらを参照してみてください。
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