1. 自動車保険の勘定科目を徹底解説します!経理の方必見です!
1-1. この記事の目的
この記事では「自動車保険の勘定科目」ついて詳しく解説をします。
この記事の目的は3つあります。
- 自動車保険にはどのような勘定科目があるかを理解できる。
- 自動車保険の勘定科目のポイントがわかる。
- 自動車保険にまつわるその他の勘定科目がわかる。
それでは早速みていきましょう。
出島Z
損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 自動車保険の勘定科目
自動車保険の仕訳の勘定科目を解説していきます。
自動車保険には自賠責保険と任意保険が存在します。
これらの保険料を収める場合、 基本的な仕訳の勘定項目については、 自賠責保険と任意保険 共に、「損害保険料」もしくは「車両費」 を使用し、仕訳を行っていきます。
3. 自動車保険の勘定科目(任意保険の仕訳注意点)
自賠責保険と任意保険 の保険料に関しては、 「損害保険料」もしくは「車両費」を使用することがわかりましたね。
ただし、任意保険料を勘定項目する際に1点だけ注意点があります。
任意保険の契約の場合、決算日までの保険契約を 「損害保険料」もしくは「車両費」で仕分けしますが、決算日以降にまたがる保険の契約は 「短期前払費用(1年以内の契約)」「 長期前払費用(1年超の契約)」 を使用し仕訳を行います。
どういうことかと言いますと、日本の会計期間はほとんどが「4/1から3/31」もしくは「1/1から12/31」の期間を設定していることが多いですよね。
同じように自動車保険の契約期間も、基本的に始期日から満期日を1年周期で設定しています。
自動車保険の場合、車を納車した納車日を始期日に合わせていることが多いため(ノンフリート契約の場合)、日本の会計期間である4/1もしくは1/1から始期日がスタートしていることはほとんどありません。
大体の保険契約が会計期間とは関係のない、別日の始期日になっています。
その際に、日本の会計期間をまたぐ保険期間の場合、先に一括で任意保険料を納めている場合に限り、 来期にまたがる保険契約の期間分を 「短期前払費用(1年以内の契約)」「 長期前払費用(1年超の契約)」 を使用し、期間按分する必要があるのです。
ちなみに、『自賠責保険料も初回契約が3年間、以降は2年間周期で更新だから、 来期にまたがる保険契約の期間分を 「 長期前払費用( 1年超の契約 のため) 」 で処理しなくても良いのか?』との疑問があると思いますが、自賠責保険については、加入が義務づけられているため、租税と同様の性格を持つものと解釈されており、継続適用を条件として、保険料支払い時にその全額を経費処理することが、実務上容認されています。
なので、この 「短期前払費用 」「 長期前払費用 」 は任意保険料だけに使う勘定科目になることを覚えておきましょう。
参照先:土井会計事務所
http://www.doikaikei.com/topics/2012/10/30-0136.html
4. その他自動車保険に関係する勘定科目
その他自動車保険に関わる、と言いますか車にまつわる勘定科目を説明していきます。
ガソリン代
基本的には、「車両費」で仕訳します。
出張で車両を使用した際は「旅費交通費」に含めてる場合もあります。
- 「車両費」で仕訳
- 「旅費交通費」で仕訳(出張で車両を使用した際)
高速道路、有料道路料金
「旅費交通費」 で仕訳します。
- 「旅費交通費」 で仕訳
車検費用
「自動車重量税」「自賠責保険」「検査手数料」「整備基本手数料」「車検代行手数料」「整備費用」「修理代」「収入印紙代」 がありますので、それぞれ記載します。
- 「自動車重量税」 ⇒「租税公課 」 で仕訳
- 「自賠責保険」 ⇒ 「損害保険料」もしくは「車両費」で仕訳
- 「検査手数料」 ⇒ 「支払い手数料」もしくは「車両費」で仕訳
- 「整備基本手数料」 ⇒ 「支払い手数料」もしくは「車両費 」で仕訳
- 「車検代行手数料」 ⇒ 「支払い手数料」もしくは「車両費」で仕訳
- 「整備費用」 ⇒ 「支払い手数料」もしくは「車両費」で仕訳
- 「修理代」 ⇒ 「車両費」もしくは「修繕費 」で仕訳
- 「収入印紙代」 ⇒「租税公課」 で仕訳
駐車料金
基本的には「地代家賃」です。
出張中に使用したものは「旅費交通費」で仕訳します 。
- 「地代家賃」で仕訳
- 「旅費交通費」で仕訳(出張中で発生したもの)
税金
「自動車税」や「自動車取得税」に関しては「租税公課」で仕訳します 。
「 重量税」や「印紙代」も先ほどの車検で「租税公課」で仕訳しましたね。
- 「自動車税」や「自動車取得税」は「租税公課」で仕訳
- 「 重量税」や「印紙代」は「租税公課」で仕訳
修理費用
「タイヤ交換費用」、「板金修理費用(工賃も含む)」は、「修繕費」で仕訳します 。
- 「タイヤ交換費用」や「板金修理費用(工賃も含む)」は「修繕費」で仕訳
5. 自動車保険の勘定科目、自家用車かつ事業用車の場合
自家用車と事業用車を併用している場合、家庭用で使用している頻度と事業用で使用している頻度を按分する「家事按分」を行います。
例えば、1年の365日の内、100日を家庭用で使用し、265日を事業用で使用している場合、自動車保険料は、
「自動車保険料×265日/365日」の分だけを経費計上できます。
ただし、この按分計算は、客観的かつ合理的に説明できる必要があります。
按分に正式なルールはありませんが、税務調査官に按分の根拠を尋ねられた時に、 納得してもらえるような合理的な理由を用意しておく必要があります。
後に税務調査が入った場合に備えて、客観的に第三者が納得できる按分の基準をしっかり用意しておきましょう。