1. 自動車保険は当て逃げをされた場合、等級は下がる?徹底解説します!
1-1. この記事の目的
この記事では自動車保険で当て逃げをされた場合に等級はダウンするか否かについて解説します。
この記事の目的は5つあります。
- 自動車保険で当て逃げをされた場合に等級は下がるか否かについてがわかる。
- 当て逃げをされた際に使用できる自動車保険がわかる。
- 車両無過失特約がわかる。
- あなたが自動車保険を付帯していない時の対処法がわかる。
- 最低限必要な補償がわかる。
それでは、早速見ていきましょう。
出島Z
損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保 険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 自動車保険は当て逃げをされた場合、等級は下がる?
当て逃げをされて自動車保険を使った場合に等級は下がるか否かについて解説していきます。
まず結論から言いますと、怪我を補償する「人身傷害保険」や「 無保険者傷害保険 」に関しては、当て逃げをされて保険を使用しても等級は下がりませんが、「車両保険」を使用した場合には等級が3つ下がります。
ただし、「車両保険」に関しては、「無過失事故特約」を付帯していれば、相手が特定できる場合に限り等級が下がらずに保険対応ができます。
但し、「無過失事故特約」にはいくつかの条件がありますので、当て逃げの際に使用できるハードルはかなり高くなります。(後ほど説明します)
自身の怪我の補償を使用しても等級は下がりませんが、車の補償を使用した場合は等級が下がると覚えておきましょう。
3.当て逃げをされた場合に使える自動車保険の種類
≪車の破損を補償する場合≫
車を補償する保険は「車両保険」です。
車両保険には「一般型」と「エコノミー型」の2種類があり、当て逃げを補償できるのは「一般型」のみです。
「エコノミー型」の契約に加入の場合は、適用外となり保険金を受け取ることができません。
また車両保険を使用するデメリットとしては、車両保険を使うと、等級は3等級ダウン下がってしまいます。
それに伴い、保険料(掛け金)が割高になります。
車両保険を使用するかは、保険料(掛け金)の上がり具合と車の修理金額を見比べ使用するか否かを判断する必要があります。
車両保険については、僕が書いた記事に詳しく書いていますので、こちらを参照いただけたらと思います。
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≪怪我を補償する場合≫
怪我を補償するのは⑴「人身傷害保険」、⑵「無保険者傷害保険」です。
「人身傷害保険」と「無保険者傷害保険」は併用する事ができず、いずれか一つしか適用されません。
両方に加入している場合は、「人身傷害保険」が優先されます。
⑴「人身傷害保険」とは、治療費、通院交通費、休業損害、精神的損害金、後遺障害逸失利益、後遺障害精神的損害金を補償します。(「人身傷害保険」については、こちらの記事を確認ください)
⑵「無保険者傷害保険」とは、事故の相手が対人賠償保険の契約がない車やバイクに事故を起こされた場合に、自身が死亡または後遺障害を被った場合に限り保険金を受け取ることができます。
更に具体的に説明しますと、自賠責の補償分を控除された損害金額が補償されます。自賠責での傷害の部分(治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料等)の補償は120万円が上限ですので、120万円の傷害部分は支払われず、120万円以上かかる傷害部分 (治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料等) を支払われる事になります。
また相手が次の様な場合に補償の対象となります。
・対人賠償保険に入っているが、年齢条件や運転者限定特約の条件等の理由で保険金が支払われない場合
・対人賠償保険に入っているが、その保険金額が被害者の損害額を下回る場合
・ひき逃げなどで加害者が特定できない場合
4. 当て逃げをされて自動車保険を使った場合に「車両無過失特約」は使える?
当て逃げをされて車両保険を使った場合に「車両無過失特約」は使えるか否かについて解説していきます。
結論から言いますと、相手が車での事故であり、相手が特定されれば 「車両無過失特約」 は使用でき、等級を下げることなく車両保険を使用することができます。
怪我を補償する「人身傷害保険」と「 無保険者傷害保険 」に関しては、当て逃げをされて保険を使用しても等級は下がりませんが、「車両保険」を使用した場合には等級が3つ下がることを説明しました。
「車両無過失特約」とは、①相手方が車であり、②相手方が特定している場合のもらい事故の際に、あなたの車両保険を使用しても等級が下がらないといった特約になります。
もらい事故とはどのような事故かと言いますと、
- 後ろから追突された事故
- 相手が赤信号を無視して起こった事故
- 相手がセンターラインをオーバーして起こった事故
- 駐車場内で駐車スペースで停止していて接触を受けた事故
のような事故の形態を指します。
過去の判例上も、このような事故はあなたの過失が0になることが証明される事故形態です。
「車両無過失特約」を使えばこれらの事故で事故を受けた場合、あなたの車両保険を使用しても等級が下がりません。
ですので、あなたが当て逃げをされた場合は、まずは警察へ相手方の捜査を依頼し、相手を特定してもらう事が必須になります。
もし相手が特定できず、あたなの車をあなたの車両保険で使用した場合は、等級が3つ下がってしまいますので注意しましょう!
5. (補足)当て逃げをされた場合に自動車保険以外に利用できる政府の保障事業
当て逃げをされ、相手が特定できない場合かつ自身が怪我を負ってしまった場合、国の保障を受けることができます。
当て逃げをされた被害者を救済する目的で、この政府の保障事業は発足しました。
具体的には自賠責(強制保険)と同じ補償内容を受けることができます。
政府の保障事業はこちらの損害保険料率機構に詳しく記載がありますので、参照ください。 請求方法も記載があります。(https://www.giroj.or.jp/publication/pdf/guide_GCP.pdf#view=fitV )
6. 当て逃げをされた場合にあなたがすべき行動、自動車保険の請求方法を教えます!
当て逃げをされた際の初期対応から保険請求まで説明します。
当て逃げはしっかりと段取りを踏んで行動しなければ、泣き寝入りにあうことがあります。
例えば、警察の届け出を事故当初にせずに放置した場合、事故として届け出を受理してもらえず、結果的に保険会社が対応してくれない、政府の保障事業の適用も受けられないといったこともあります。
しっかり段取りを踏んで行動しましょう。
6-1. 当て逃げをされた場合のすべき行動、事故発生時
当て逃げの瞬間を目撃していた人がいないか確認しましょう。
・目撃者がいれば、必ず連絡先を確認し証言者としてなってもらえるようお願いしましょう。
・事故現場付近に周りに防犯カメラがないかを確認しましょう。
あれば防犯カメラの所有者を確認し、動画内容を警察へ開示してもらうように要請しましょう。
6-2. 写真を撮る
事故現場の写真と、車の損害の写真を収めましょう!
写真を保管する理由は、事故の証拠を残すためです。
警察や保険会社へ事故の事実を証明するために必要になります。
車の損害については傷がしっかりと分かるように写真を撮り保管してください。ケータイやスマホで保管でも構いません。
6-3. 警察へ届け出を行う
当て逃げをされた当日に警察へ事故の届け出を行いましょう。
事故から2週間以上経過すると、事故の届け出を受理してもらえない事があります。当日に届け出ができない方は翌日までには必ず届け出をしましょう。
届け出を行う理由は、 保険会社へ事故の事実を証明するために必要になります。
6-4. 保険会社へ連絡する
あなたの保険会社へ当て逃げをされた事を報告しましょう。
車の破損については「車両保険」、怪我の補償については「人身傷害保険」、「無保険者傷害保険の適用になりますので、あなたの証券を確認し、これらの補償が付帯されているかを確認し、保険会社へ連絡してください。
7. 当て逃げをされて自動車保険に加入していなかった場合
「車両保険」、「人身傷害保険」、「無保険者傷害保険」に加入していない場合の対処方法をご案内します。
7-1.車の損害は実費で負担する必要があります。
車の修理に関しては、修理金額を安く抑えるという対処方法しかありません。
あなたの取引をされている数理工場をあたってもらう、あなたの保険会社の指定工場にて修理を行うなどして、できるだけ安くで修理ができる修理業者に修理を依頼しましょう。
できるだけ安く修理する場合は、板金塗装業者での修理をお勧めします。
DRPネットワークといって、全国の板金塗装業者が加盟している組織があり、ここはよく自動車保険会社が提携しているケースが多く、全国各地の板金塗装を網羅しているので、おすすめです。
DRPネットワーク板金塗装検索ページ(https://www.5552.co.jp/pg/km_tdfkn.php )
7-2. 怪我の治療費等については、政府保障事業へ申請を行います。
怪我の治療費、休業損害、通院交通費、慰謝料等は政府保障事業を利用できますので、直ちに政府保障事業へ請求を行いましょう。
政府の保障事業はこちらの損害保険料率機構に詳しく記載がありますので、参照ください。 請求方法も記載があります。(https://www.giroj.or.jp/publication/pdf/guide_GCP.pdf#view=fitV )
8. 当て逃げをカバーできる自動車保険に加入しよう!
今まで説明したように、当て逃げをカバーする保険は、「車両保険(一般型)」、「人身傷害保険」、「無保険者傷害保険」になります。
当て逃げのリスクを全てカバーしたいという事であれば 「車両保険(一般型)」、「人身傷害保険」 へ加入される事をお勧めします。
この2つさえ加入していれば、当て逃げをされてもあなたの車と怪我については全て補償されます。
また「車両無過失特約」も相手が車で相手が特定さえすれば、等級が下がることを防げる特約になりますので、万が一のために加入された方が良いです。
もしこちらの補償を付帯していないのであれば、まずは自身の保険会社に補償を追加で頼まれることをおすすめします。
ちなみに、僕が書いた記事に「最低限必要な補償」を紹介しているものがありますので、こちらも併せてみていただくと自動車保険の理解が深まりますよ。
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