1. 自動車保険の等級はリセットされるの?解説します!
1-1. この記事の目的
この記事では、長年自動車保険会社で査定業務を行ってきた僕が、自動車保険の等級はリセットされるか否かを解説していきます。
ちなみに、ここでいう自動車保険は任意保険であることを前提に話を進めていきます。
この記事の目的は2つあります。
- 自動車保険の等級はリセットされるか否かわかる。
- 自動車保険の等級のリセットされる条件を理解できる。
それでは早速みていきましょう。
損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 自動車保険の等級はリセットされるの?
この記事では、自動車保険の等級はリセットされるか否かについて解説をしていきます。
まず結論から言いますと、自動車保険の等級はリセットされます。
ここで言うリセットは、新規契約を行う際に、前回の等級が引継ぎされるか、それとも6等級からのスタートになるかを意味しています。
ただし自動車保険の等級がリセットされるには条件があり、
- 新規契約を行う場合、前契約の満期日(または解約日)から14ヵ月間以降であれば、前契約の等級・事故あり係数適用期間がリセットされる
この条件がそろえば、自動車保険の等級はリセットされ、6等級からの契約をスタートすることができます。
詳細をみていきましょう。
3. 自動車保険の等級リセットの条件
自動車保険の等級に関して、自動車保険を解約してから前契約の満期日(または解約日)から13ヵ月間は前契約の等級・事故あり係数適用期間が引継がれることになります。
ですので、裏を返せば自動車保険を解約後に新規契約を行う場合、前契約の満期日(または解約日)から14ヵ月間以降であれば、前契約の等級・事故あり係数適用期間がリセットされることになります。
一応エビデンスを紹介しておきます。
Q 新規で契約すれば、1~5等級や事故あり係数適用期間はリセットされますか
A いいえ、継続(更新)せずに新規で契約しても、1~5等級や事故あり係数適用期間(1~6年)はリセットされません。
3-1. 自動車保険の等級は監視されています
これは余談ですが、実は、自動車保険の等級はみなさんが思っている以上にしっかりと管理されています。
理由は、自動車保険の等級で保険料(掛け金)が決まるため、不正がないように屠いう意味合いからです。
自動車保険会社間で、個人の等級情報を共有しています。
「等級情報交換制度」と呼ばれている制度です。
自動車保険の等級情報交換制度
- 自動車保険の等級情報交換制度は、自動車保険を契約した保険会社を変更した場合であっても前契約の等級が適切に継承されるように、保険会社間で確認を行っている制度であり、「自動車保険契約確認のための情報交換制度」が正式な名称となります。
- 契約を更新する保険会社が前年と同じであれば、その保険会社の中で契約者の前契約の等級(事故の発生の有無・件数など)を確認することで、等級を適切に継承することができますが、保険会社を変更した場合には、等級の正確な適用状況が把握できず、前契約の保険会社に確認を行う必要があります。こうした情報の確認を円滑に行い、契約者間の保険料負担の公平性を確保することを目的として、保険会社だけでなく共済組合も参画した制度を運営しています。
- 主なものとしては、次の制度があります。
- ① 1~5等級・割増料率適用対象契約情報交換制度
- 前契約においてデメリット等級(1~5等級、6F等級、事故有係数適用期間適用契約)を適用する等級であった場合には、契約者が他の保険会社(共済組合)に移ってもその等級をきちんと継承できるようにしておくことが必要です。このため、等級関連情報(注)を各保険会社(共済組合)から集めて、その情報を他の保険会社(共済組合)で契約の更新を行った場合に提供できるようにしています。
- ② 無事故・事故確認制度
- 契約者が前契約とは別の保険会社(共済組合)で契約を更新した場合、前契約の等級を引き継ぐために申告した等級が正確なものであるかどうかを確認する必要があります。このため、契約更新を受付けた保険会社(共済組合)が前契約の保険会社(共済組合)に等級関連情報(注)を確認できるようにしています。
- 引用先:日本損害保険協会
https://soudanguide.sonpo.or.jp/car/q023.html
この制度により、等級に関しては虚偽の報告は絶対にできないようになっています。
4. 自動車保険の等級リセットを行う人の対象
自動車保険の等級をリセットしたほうがよい人はどのような人になるかを紹介します。
ずばり、
- 6等級未満の人
- 6等級未満かつ「事故あり係数」が1年以上ある人
このような人たちです。
この等級をリセットした方がよい人とは、
- 1度でも自動車保険に保険請求を行なったことがある
- 6等級未満の為、割引率が悪く多額の保険料(掛け金)を支払っている
という共通点があります。
もちろん、そのまま自動車保険を継続していくことも選択の一つですが、元の6等級に戻るまでに多額の保険料(掛け金)を保険会社に収め続けていかないといけないことになります。
5. 自動車保険の等級をリセットする時の対処法
管理人の僕が仮に6等級未満だったらこうする、という解決方法を紹介します。
ただし、「ちょっと無理のある方法」になってしまいますので、あまりおすすめできないのでその点を承知の上で見ていただけたらと思います。
- 任意保険を解約して、13ヶ月間一切車に乗らない
- その間はシェアカーを使用する
- 公共の交通手段を使う
色々考えましたが、この方法しかないです。
任意保険に未加入で車を使用するにはリスクがありすぎますので、おすすめは一切しません。
そのかわり、「シェアカー」or「公共の交通手段」を使用する方法です。
そもそも
- 6等級未満の人
- 6等級未満かつ「事故あり係数」が1年以上ある人
の人は、毎月の保険料がかなり掛かっていることになります。
その悪条件で保険料(掛け金)を支払っているくらいなら、一度解約をしてシェアカーや公共の交通手段を使用した方が費用対効果としては良い場合もあります。
もちろん、保険料(掛け金)と毎月のシェアカー料金や公共の交通手段の費用を比較した上で決めていきましょう。
そして解約をしてから14か月を過ぎてから再び任意保険を新規で契約すれば、6等級からスタートすることができます。
今、6等級未満でお悩みの方は、一度ご検討してみてはいかがですか?