1. 自動車保険で「自然災害」は補償されるの?徹底解説します!
1-1. この記事の目的
この記事では「自動車保険で自然災害は補償される?」について詳しく解説をします。
ちなみに、ここでいう自動車保険は任意保険であることを前提に話を進めていきます。
この記事の目的は3つあります。
- 自動車保険で「自然災害」は補償されるか否かがわかる。
- 自動車保険で補償される「自然災害」がわかる。
- 自動車保険で補償されない「自然災害」がわかる。
それでは早速みていきましょう。
出島Z
損害保険業界に10年居座り続けてしまった出島Zです。元々は生命保険の営業を行っており、その後某外資系自動車保険会社に入社し、交通事故の査定業務、示談交渉を行なっていました。物損担当者・人身損害担当者を経験し、年間600件以上の交通事故を解決に導いてきました。正確に数えてはいないですが、トータル5,000件以上は確実に示談を行ってきました。損保を2社渡り歩きました。FP資格、損害保険募集人(自動車保険、火災保険、傷害疾病保険)、生命保険募集人、共済募集人、高校教員免許保持者。趣味は音楽鑑賞、作成、DJ、ブログ、インテリア、グラフィックデザインです。
2. 自動車保険で「自然災害」は補償される?
自動車保険で「自然災害」は補償されるか否かについて解説していきます。
まず、結論から言いますと、補償される「自然災害」と補償されない「自然災害」の2つに分かれます。
また自動車保険で「自然災害」を補償するということは、「車両保険」を使用し、「自然災害」によって被った車の損害を補償するといった意味合いになります。
では、それらを詳しくみていきましょう。
3. 自動車保険で補償される「自然災害」の具体例
「車両保険」で補償される「自然災害」を紹介します。
- 台風による損害
- 大雨・ゲリラ豪雨による損害
- 洪水による損害
- 竜巻による損害
- 雹(ひょう)・あられによる損害
- 大雪・雪崩による損害
- 落雷による損害
- 高潮による損害
これらが原因で車に損害を負った事故に関しては、「車両保険」にて補償されます。
「車両保険」に関しては、日本損害保険協会にてこのように説明をしています。
車両保険では、契約時に特定した自動車(以下「被保険自動車」といいます。)が偶然な事故によって損害を受けたときに保険金が支払われますが、この「偶然な事故」とは、交通事故だけではなく、衝突、接触、墜落、転覆、物の飛来、物の落下、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮など、あらゆる偶然な事故で、被保険者の過失によって発生した偶然な事故も含みます。車両保険においては、約款で定めている「保険金を支払わない場合」を除き、原則として、すべての事故に対し、保険金が支払われます(ただし、後述のとおり、契約パターンによって補償範囲を限定している場合があります。)。
引用先:日本損害保険協会
https://soudanguide.sonpo.or.jp/car/q015.html
交通事故での損害はもちろん支払いの対象になるのですが、その他の「偶然な事故」も「車両保険」では補償することになっています。
「自然災害」はこの「偶然な事故」に含まれることになり、約款の免責事項を除き、「車両保険」が支払われる事になります。
ですので、上記に記載したような「自然災害」も補償の対象になってきます。
4. 自動車保険で補償されない「自然災害」の具体例
「車両保険」で補償されない「自然災害」を紹介します。
3つあります。
- 地震によって起きた損害
- 噴火に伴う噴石や火山灰による損害
- 津波による損害
これらが原因で車に損害を負った事故に関しては、「車両保険」にて補償されません。
これらは絶対免責と呼ばれる項目で、支払いの対象外であることを約款に記載しています。
車両保険で、保険金が支払われない主な場合は、次のとおりです。
- 1.契約者、被保険者、被保険自動車の所有者、保険金受取人などの故意または重大な過失によって生じた損害
- 2.被保険者の無免許運転、酒酔い運転、麻薬・シンナーなどを使用した運転によって生じた損害
- 3.戦争、内乱、暴動などの異常な事態によって生じた損害
- 4.地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害
- 5.詐欺、横領によって生じた損害
- 6.被保険自動車を競技、曲技もしくは試験のために使用すること、または被保険自動車を競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において使用することによって生じた損害
- 7.被保険自動車の欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗による損害
- 8.故障損害
- 9.被保険自動車から取りはずされて車上にない部分品・付属品に生じた損害
- 10.付属品のうち被保険自動車に定着されていないもの(注1)に生じた損害。ただし、被保険自動車の他の部分と同時に損害を被った場合、火災によって損害が生じた場合を除く。
- 11.タイヤ(注2)に生じた損害。ただし、被保険自動車の他の部分と同時に損害を被った場合、火災または盗難によって損害が生じた場合を除く。
- 引用先:日本損害保険協会
https://soudanguide.sonpo.or.jp/car/q015.html
項目の4に記載されているように、車両保険では地震によって起きた損害、噴火に伴う噴石や火山灰による損害、津波による損害を補償の対象外にしています。
またさらに日本損害保険協会の記載している文章には追記があり、
なお、上記のとおり「地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害」については、保険金支払いの対象外ですが、一定の条件(補償する損害を限定しないタイプの車両保険を契約している場合で車両が全損となった場合など)で、一定額(50万円など)を扱っている会社もあります。
引用先:日本損害保険協会
https://soudanguide.sonpo.or.jp/car/q015.html
このように自動車保険会社によっては、一定の条件であれば、「自然災害」を支払えるところもあると記載があります。
ちなみに、これは「地震・噴火・津波危険特約」と呼ばれる特約を付帯した人のみ対象となる補償でして、全損になってしまった車を一時金50万円を補償すると言ったものになります。
ちなみに扱っている保険会社は下記の通りです。
保険会社 | 補償金額 |
---|---|
東京海上日動火災 | 50万円 |
あいおいニッセイ同和損保 | 50万円 |
損保ジャパン | 50万円 |
三井住友海上 | 50万円 |
アクサダイレクト | 50万円 |
共栄火災 | 50万円 |
AIG保険 | 50万円 |
チューリッヒ | 50万円 |
こくみん共済 coop 全労済 | 50万円 |
日新火災 | 50万円 |
JA共済 | 50万円 |
チャブ保険 | 車両保険金額 |
楽天損保 | 車両保険金額 |
参考:各社保険会社HP
またチャブ保険と楽天損保は太っ腹でして、50万円の一時金ではなく、車両保険金額までを上限に車両損害を支払う特約になっています。
また全損に限らず、分損でも 車両保険金額を上限に修理金額までを補償します。
ですので、この特約に限っては、チャブ保険と楽天損保が上位クラスの特約と言えます。
5. 自動車保険で補償される「自然災害」(対物保険)
今までは「車両保険」にて補償される自然災害を紹介してきました。
実は、対物保険においても「対物保険」にて対応できるものが一つだけあります。
ちなみに、「対物保険」で支払われる損害とは、あなたが相手に車で事故を起こし、法律上の損害賠償責任を負った損害に場合に限ります。
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
民法709条
このように民法709条にて定められている事故になりますので、基本的には自然災害で相手に損害を与えるということ自体が法律的な賠償責任を負わないことになるのですが、 1つだけよくある対物賠償を負うものがあります。
「台風や突風にてドアが大きくひらき隣の車を傷つけた 」
このような場合は、「対物保険」を使用し相手に損害を賠償します。
これは、運行供用者の車の管理の問題とされ、ドアを開ける行為をした運転者の運転動作に起因し、自然災害があいまって隣の車に損害を与えてしまったとみなされる為、対物賠償ができることになります。
ですので、このような事例であれば、「対物保険」は使用できますので、保険会社へ請求することをおすすめします。
6. 自動車保険で補償される「自然災害」(総括)
いかがでしたか?
自然災害でも「車両保険」は使用できるものと、使用できないもので区別され、
- 台風による損害
- 大雨・ゲリラ豪雨による損害
- 洪水による損害
- 竜巻による損害
- 雹(ひょう)・あられによる損害
- 大雪・雪崩による損害
- 落雷による損害
- 高潮による損害
- 地震によって起きた損害
- 噴火に伴う噴石や火山灰による損害
- 津波による損害
でしたね。
また 「地震・噴火・津波危険特約 」を付帯していれば自身や噴火、津波による損害も対象となります。
「対物保険」に関しては、 「台風や突風にてドアが大きくひらき隣の車を傷つけた 」 ような事故であれば、対象となりますが、その他はそもそも事故とならないため補償の対象外となります。
また、「車両保険」に関しては、以前詳しく記事で書いていますので、こちらを 参照ください。