事故対応力とは?
テレビのCMで、
「安心の事故対応」
「納得の事故対応」
「事故対応力、No.1」
などを耳にしますが、そもそも「事故対応力」とは何かを考えた事はありますか?
今日はこの「事故対応力」とは何かをあなたにお伝えしたいと思います。
この「事故対応力」とは何かを知れば、あなたが保険会社を選ぶ際、事故を起こしてしまい保険会社へ対応してもらう際、に必ず役に立つはずです。
保険会社の事故処理について
事故を起こしてしまった後に、保険会社がしてくれることは2つあります。
- 契約している保険金の支払いを履行する
- 交渉窓口に立ち、事故解決(示談)を行ってくれる
その際、「担当者」と言われる保険会社の職員が一人以上専属で付き、事故の対応を進めてくれることになります。
この担当者が保険金の支払いを行い、あなたと一緒に解決(示談)まで進めていくのですね。
事故対応力の定義
保険会社の担当者が保険金を支払い、事故を解決まで導いていきますので、保険会社の担当者の手腕がいわゆる「事故対応力」を担っている事になります。
ですので、「事故対応力」とは、
保険会社の担当者の技術・力量
の集合体と言えます。
保険会社の担当者の技術・力量を結集させたものが、一つの保険会社の事故対応力を作りあげています。
「事故対応力」の具体例
保険会社の担当者の技術・力量の集合体=事故対応力
がわかったところで、事故対応力が良いとはどういう事かを、具体的な要素を挙げてお話しします。
保険会社の担当者の目的は先ほど挙げたように、
- 保険金を支払うこと
- 事故解決(示談)へ導くこと
です。これらを完璧に遂行してくれる担当者は、事故対応力が良いという判断になります。
これらを完璧に遂行できる担当者が備えている素質や要素は下記の通りです。
- 素早いレスポンスをしてくれる
- こまめに経過報告をしてくれる
- 何通りもの解決方法を提案してくれる
- 出来ること出来ないことをはっきり教えてくれる
- 説得力がある
- 深く謝罪ができる
- 言葉遣いをTPOに応じて使い分けられる
これらの要素が備わっている担当者は、出島Zから見て、事故対応力が良いと考えています。
あくまで自論になるのですが、同業でやっていた人間からすると、これらが備わっている担当者は「事案処理能力が高く」、「契約者からの評価は高い」です。
特に重要なのが、
- 素早いレスポンスをしてくれる
- 何通りもの解決方法を提案してくれる
の2つです。
事故対応は、いかにスピード良く解決出来るかが勝負になってきます。
事故にあった側からすると、事故は決していいものではありませんよね?
ですので、早く事故を解決し普段の生活に戻りたいと加害者被害者共に思うものです。
また実際に事故の解決は時間が経てば解決率も下がってくる傾向にある為、スピードよく解決してくれる事に越したことは無いのです。
また一つの事故に対して、解決案をいくつも持っている担当者は、それだけ経験値が高いという事です。
引き出しが多い担当者が付けば、最短で解決に導いてくれる術も知っているのですね。
事故対応力で保険会社は選ぶべきなの?
では、事故対応力で保険会社を選ぶべきなのかという事なのですが、
答えはNoです!
です。理由は、
各保険会社の事故対応力を数値化する・評価することが難しいからです。
事故対応力を数値化・評価しづらいのはどういう事なのでしょうか。
自動車保険会社の部署について(ここは良い飛ばしても大丈夫です)
自動車保険の事故処理は、損害保険会社の損害サービス、損調サービスという部署で行われます。
国内損害保険会社、共済の場合は全国42都道府県に拠点があり、ネット型の保険会社の場合は主要都市や地方に2〜3の数件拠点があり、契約者や事故の相手方の住居を基に管轄する拠点が割り振られます。
損害サービス部では、物損担当者(主に女性が多い)、人損担当者(主に年配の男性が多い)、アジャスター(車の損害を査定する職員)、に分かれており、その会社毎の割り振られ方(ルール)によって順番に事故の案件が回ってきます。
大体1拠点に10人〜30人くらいの担当者で事案を対応しています。
ある程度は均等に事案を配分されるように各社ルールが設定されています。
物の損害の事故だけだと物の損害の担当者が専属で付き、怪我も発生している事故だと、怪我の担当者が更に一人専属で付きます。
また役職の無い担当者が一般的な事故案件を処理し、係長・課長補佐クラスが難しい事案を処理し、課長クラスが決済、所長クラスが拠点を管理するといったイメージです。
役職の無い担当者が一人当たり対応する案件は、国内損保・共済だと50-100件(保険会社によりけり)、ネット型保険会社だと100-300件(保険会社によりけり)くらいが目安です。
担当者によって対応はバラバラ
先ほど、保険会社の担当者の技術・力量の集合体=事故対応力と定義しました。
保険会社の担当者が事故対応力を担っているのですが、実は担当者の能力は、同じ会社の社員でもバラツキが激しいのが現実です。
対応の仕方が180度異なる担当も居ますし、むしろ担当者の事案の進め方は「一人一人の個性を出すことが良し」とする風潮があります。
オブラートに物事を包んで進める担当者もいれば、ズバッと白黒ハッキリさせて進めていく担当者もいるんですね。
品質を均一にするのがサービス業でしょ!と怒られるかもしれませんが、担当者の能力を均一にする事はそれだけ会社としても研修を導入したり、費用をかける必要がありますので、大きな課題なのです。
能力の違いに関しては、自身の職場の周りを見渡してみて下さい。色んな社員の方がいますよね?
それと同じです。仕事ができる人、できない人が存在します。
仕事ができる担当者に当たれば、ノンストレスで対応してくれますし、自分の期待以上の事故対応をしてくれます。
できない担当者に当たれば、
「保険金の支払いが遅い」
「自分の期待していた過失割合で事が進まなかった」
「担当者から連絡がない」
などの事が起こるのですね。
保険を選ぶ際は、ネットや雑誌情報の事故対応力で判断しない
良く保険会社の評価基準として、オリ●ンや、価●.com、JD●ワーというものがあるのですが、
出島Zはあまりお勧めしません!
理由は、冒頭でお伝えしたように、全ての保険会社の全ての事案を評価の対象にしていないからです。
評価会社では、「不特定多数の事故経験者を無作為に選び、評価している」記述があるのですが、どうしても怪我の損害と物の損害の満足度は、物損事故の場合の方が落ちてしまいます。物損事故には過失割合の交渉が入ってきますので、過失割合が希望通りにいかない場合は、担当者が社会通念上、妥当な過失割合で事故解決していても、契約者の意に沿わない内容での過失割合を解決していれば、自ずと評価も下げられてしまいますからね。
その分、怪我の損害の場合は支払い業務がメインになり、保険金を払ってもらえる行為に対して評価を下されますので、自ずと満足を得られる可能性が高いのです。
ですので全ての交通事故の案件を評価の対象にしないと意味が無いのです。
あくまでも各保険会社で対応してもらった一部の人を対象にアンケートを取っている為、データとして信憑性にかかるのです。
なので結論を言えば、
事故対応力=保険会社を選ぶ基準
には必ずしもならないのですね。
もし仮に、ヤフー知恵袋やインスタなどのSNSで、保険会社の事故対応において評価や批評が書かれている記載があれば、それは注意して信憑性を確かめる必要があるのです。
事故対応が良くなかった=その保険会社の事故対応力
ではなく、
事故対応が良くなかった=その時対応した担当の対応力がなかった
可能性が十分にあるのですね。
専属になる担当者は運次第
元も子もない話なのですが、付く担当者は運次第です。
あなたが加入している保険会社から対応を受ける場合、ランダムに担当者が付きますので、担当者をあなたが選ぶことができないのです。
仮に、現在進行形で、保険会社の事故処理を担当者から進めてもらっている人がいればなのですが、できない担当者がついた場合は、「担当者の上席に代わってもらう」、「役職者に担当をしてもらう」事を申し出した方が良いです。
役職者になる人は、担当時代があり、その会社のできる人だったから役職が付いた方々ですので今の担当よりはマシになるはずです。
そして、今から保険会社を選ぼうとしている人は、
事故対応力というもので保険会社を選ばないでもらいたいのです。
もし、ネットで高く事故対応力を評価しているから今の自動車保険を選んだという人がいたとしても、結局は付く担当者は運次第ですので、必ずしも付く担当者が希望通りの事故対応をしてくれるとは限りません。
ですので、保険会社を選ぶ場合は、事故対応力ではなく、あなたの他のニーズを満たすものを補ってくれる保険会社を選びましょう。
是非、前回書いた記事の【誰も教えてくれない、自動車保険会社の選び方】をご参考にしてみてください。